『Glare1more』プレイ感想

 

 

 

『Glare1more』はある日、とある企業のアンケートに答えた粗品としてナノロボット『グレア』が届けられた所から物語が始まる。

プレイヤーは突然届けられたにも関わらず、プレイヤーに一切靡かないこのロボットと会話を通じて少しずつ交流を深めていくことになる。いわばギャルゲージャンルのゲームだ。

 

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『Glare1more』は非常にインタラクティブなゲームだ。

インタラクティブとは『対話』あるいは『双方性』を意味する単語だ。ゲームジャンルとしてはメタフィクション系のゲームを表す単語として使用される傾向にある。本来プレイヤーとゲーム内のキャラクターは一方向からのコミュニケーションしか得られないが、メタフィクションを孕んだゲームは疑似的にその壁を破壊することが可能だからである。『oneshot』におけるプレイヤーがPCの外で操作している人間であるということを知覚しているnikoや、『UnderTale』におけるSansのゲームの世界外に繰り返しこの世界をリセットしている存在がいることを示唆する発言はプレイヤーに疑似的な『インタラクティブ』な体験を与えるというわけだ。

しかしながら『Glare1more』はけしてメタフィクション系統の作品ではない。そのシナリオはきちんとゲーム内の主人公であるプレイヤーとグレアの中で完結し、PCモニターを飛び越えて我々に干渉してくることなどは一切ない。それでも『Glare1more』は非常にインタラクティブなゲームだと言える。

その理由はゲームシステムにある。『Glare1more』は『コマンド入力方式』を採用しているからだ。

 

 

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『コマンド入力方式』が『コマンド選択方式』より劣っているのは歴史が証明しているし、それを否定するつもりは当然僕にもない。しかしながらプレイヤーとゲームのインタラクティブな関係性を保つ上で『コマンド入力方式』は優れた表現方法だと僕は考えている。

近年では『コマンド入力方式』が採用されているゲームとして『her story』があるが、あのゲーム性をコマンド選択方式では再現することが難しいし、仮に再現出来たとしてもあのゲーム独特の没入感は失われてしまうだろう。

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ビデオ映像の聴取映像から発せられる会話をヒントにキーワードを入力し

警察のデータベース内を探って一つの事件を辿る名作ADV『her story』

 

 

 

 

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しかしながら『Glare1more』が『コマンド入力方式』にカッチリとハマっていること言われると少々怪しい部分もある。というのもこのゲームのシナリオが進むにつれて世界の謎が徐々に明らかになっていくのだが、その謎を握っているのは主人公だからである。そのため単語を入力し、シナリオを進め、世界の謎に少しずつ迫っていくのも我々だし、その秘密を握っているのも我々(主人公)だという構図には少しばかり違和感を覚える。

 

 

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けれど、そんな些細なことが気にならないくらいグレアは可愛いし、えっちなのでこのゲームはそれでよいのだと思う。

 

ゲームボリュームとしては通常シナリオと後日談(エイプリルフール企画のネタらしいがギャグシナリオとかではなかった)を両方合わせても二時間弱で終わるレベルの内容だ。

またこのゲームの特徴としてBGM(効果音等は存在する)がないことが挙げられるが、それを効果的に利用した演出を用意しているのでBGMが無いからといって自分好みの音楽を流したりはしないことを推奨する。個人的には後日談が演出、シナリオ共に好みでこんな感じの話を定期的に有料DLCで投下してくれたらうれしいのになぁと思ったりした。



 

 

 

 

因みに本稿で既に触れたがこのゲームの『コマンド入力方式』を気に入った方は『Her story』のプレイを強くオススメする。コマンド入力方式と不気味な没入感のマッチしたゲーム性に思わず舌鼓を打つはずだ。

 

fgctcgetc.hatenablog.com